識別みわけ)” の例文
近所きんじよもの大勢おほぜいたゞどろのやうになつてうごいてるのでどれがどうとも識別みわけがつかないでこまつたといつて、勘次かんじうたことを反覆くりかへしてたゞよろこんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「然り。——あなたは賢そうに構えているが、その眼はひとの賢愚をすら識別みわけがつかない。眼の濁っている証拠である」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彭は二人の顔を見較べてみたが、顔から髪から着物の色合から何方がどうとも識別みわけることができなかった。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もう誰彼の識別みわけもつかない。むらがりかかってゆく烏に似ていた。大地の雪が粉になって、太刀と人影を吹雪に巻く。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)