ことわ)” の例文
下宿にある岸本は当分客をことわるようにして、ほとんど誰にもわずに屏居へいきょの日を送っていた。五月の下旬になった頃であった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さあれ覆水ふくすいいかでか盆にえるべき、父上にはいずれ帰国の上、申し上ぐることあるべしと答え置き、それより中江、栗原両氏に会いて事情を具し、しょうにその意なきことをことわりしかば
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
そして今夜は泊れおっかさんの代りに私が抱いて寝てあげるからといいます。おっかさんに叱られるからいやだと申しますと、おっかさんには私が今ってことわって来るからかまわないといいます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大塚さんが客をことわるというは、めずらしいことだった。
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)