試練しれん)” の例文
これからなかはたらくものも、またうえ学校がっこうへいってまなぶものも、だい一にからだ大事だいじにして、いかなる試練しれんにも、覚悟かくごがなければならない。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし——こういう試練しれんにかかることは、この人が良人おっとときまる前からの覚悟であった、父からもいわれ、綽空からもとくといわれた上で、はっきりと誓いしていたことだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨人ワグナーの音楽と四つに組んで味聴することは、音楽を甘美な享楽と思惟しいする人達には、出来ないことである。が、それはまことによき芸術鑑賞の試練しれんであると言えるだろう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
なにしろ、事件がうまい結着けっちゃくをみせるまでは、母親をもあざむいておく必要があったから、隆夫はなるべく主家へ顔出しをしないのがよかったのである。隆夫には、たいへんつらい試練しれんだった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
清盛にとっても、その試練しれんといえるような大きな機会をもった日が、ついに来た。