をか)” の例文
『お時は近頃色氣づいた。』『隣の本山もとやまさんへ來る牛乳配達とをかしい。』『いつでも垣根の向うと此方でベチャ/\何か話してゐる。』
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
課長は無論唯若い看護婦にけたと云ふだけで揶揄からかつたので、實際又醫者や藥劑師や他の看護婦の居た前でけたのだから、何もをかしい事が無い。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
代官からの命令とあれば是非もない——尤も、どうしてそんなことが代官の耳に入つたのか、すこしをかしいけれど——結婚をさせてやることにする。
「だつてをかしいわ。」と夫人は不機嫌さうにぼやいた。「御覧なさいよ、来る人も来る人もが黒ん坊ばかしよ。貴郎あなたこゝは黒ん坊の教会ぢやなくつて。」
課長は無論唯若い看護婦にけたと云ふだけで揶揄つたので、実際又医者や薬剤師やほかの看護婦の居た前でけたのだから、何もをかしい事が無い。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
をかしいぢやないか、僕の顔を見ていきなり笑ひ出すなんて。」
何故暗い陰影かげに襲はれるか? をかしいとは思ひ乍ら、私は別に深く其理由わけを考へても見なかつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「でも、不思議な事もあればあるもんだね、僕は今こゝへ来がけに、社に寄つてみたが、いつもの通りに機械も動いてるし、社員もみなせつせと働いてたよ。君が禁めたつていふのに、随分をかしいぢやないか。」
をかしい事には、此時お定の方が多く語つた事で、阿婆摺あばづれと謂はれた程のお八重は、始終しよつちゆう受身に許りなつて口寡くちすくなにのみ應答うけこたへしてゐた。枕についたが、二人とも仲々眠られぬ。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
をかしいな。こんな筈ぢや無かつたつけが……」
をかしい事には、此時お定の方が多く語つた事で、阿婆摺あばずれと謂はれた程のお八重は、始終受身に許りなつて口寡くちすくなにのみ応答してゐた。枕についたが、二人とも仲々眠られぬ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
をかしいな。」
お定はもう日が暮れかかつてるのに、まだ引張り𢌞されるのかと氣が氣でなくなつたが、一町と歩かずに本郷館の横へ曲つた時には、東京の道路はをかしいものだと考へた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お定はもう日が暮れかかつてるのに、まだ引張り廻されるのかと、気が気でなくなつたが、一町と歩かずに本郷館の横へ曲つた時には、東京の道路はをかしいものだと考へた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其麽事もないけれども……をかしなもんだね。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)