言葉遣ことばづか)” の例文
その人の様子といい言葉遣ことばづかいといい歩きつきといい、何から何まで判切はっきり見えたには見えたが、田口に対する返事は一口も出て来なかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
する者あり其者の羽織はおりの紋がまるに三つ引ゆゑはてな羽織はおりの紋と言葉遣ことばづかひと云大橋文右衞門によくるがもしや浪人でもして零落されたることかと思ひて有合ありあひぜに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とにかく吉川はやっとに落ちたらしい言葉遣ことばづかいをして、なおその当人の猿という渾名あざなを、一座をにぎわせる滑稽こっけい余音よいんのごとくかえした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
、今から予想してかかるような言葉遣ことばづかいをするのが気にさわったら許してくれたまえ。しかし人間は死ぬものだからね。どんなに達者なものでも、いつ死ぬか分らないものだからね
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
色の浅黒い鼻筋の通った立派な男で、言葉遣ことばづかいや態度にも容貌ようぼうの示すごとく品格があった。三沢は院長に会うと、医学上の知識をまるでもっていない自分たちと同じような質問をしていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)