解放ときはな)” の例文
されど我は今汝の心が、思ひより思ひに移りて一のふしの中にむすぼれ、それより解放ときはなたれんことをばしきりに願ひつゝ待つを見るなり 五二—五四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「前髪立ちのあの若侍、愚僧大いに気に入り申した。旅人蔵から解放ときはなし愚僧に賜わることなりませぬかな?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
手にかけたる者なれば解放ときはなせしとてすぐ音羽おとはかへさば如何なる災禍わざはひおこらんも計られず又かの親子しんしも家主を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寝床をすべって、窓下の紫檀したんの机に、うしろ向きで、紺地に茶のしまお召の袷羽織あわせばおりを、撫肩なでがたにぞろりと掛けて、道中の髪を解放ときはなし、あすあたりは髪結かみゆいが来ようという櫛巻くしまきが、ふっさりしながら
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
重々しい鉄輪てつわの車を解放ときはなされて
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)