観世水かんぜみず)” の例文
六角の象嵌鍔ぞうがんつばあいよりの柄糸つかいと、めぬきは四代光乗こうじょうが作らしく、観世水かんぜみず若鮎わかあゆめこまれ、柳しぼりのさやごしらえ、なんともいえない品格がある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悦子は学校から帰って来ると、毎年お花見の時より外にはめったに着ることのない和服を着て、足に合わない大ぶりの足袋たび穿いて、観世水かんぜみず四君子しくんしの花丸の模様のある山村流の扇をかざして
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
簀戸すどの腰板に、観世水かんぜみずかしりになっていた。あいと白の浴衣ゆかたに、あかい帯揚げが、ちらりと、そこに動いた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、妙子が観世水かんぜみずの模様のを選び出した。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
空にはうつくしい金剛雲こんごうぐも朱雀すざくのはらには、観世水かんぜみず小流ささながれが、ゆるい波紋はもんをながしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)