そしてこの両者をはじめ、心ある朝臣たちも、こんなことを伝え聞いて、そろそろ何進の人間に見限りをつけだして離れてしまった。
なあ、そうやってるうちにアまた思わねえいい芽もふこうってものだ。だがネ、お前さんが栄三郎さんに見限りをつけたのは大出来だったよ。
ところが又そうなると私の癖かも知れないが、すっかり鑑識課の仕事を馬鹿にしてしまって、ほんの参考程度の役にしか立たないものと見限りを附けるような頭の傾向になっていた。
「女狐め! 逃げる気で飛びこんだならばよいが、のがれぬところと見限りをつけて、身を投げたのだとすると、一大事だわえ」
「今が見限り時」とばかり、陣を脱して逃亡してしまうのも、当り前のようにしている彼らの乱世生活であった。