見限みき)” の例文
そしてこの両者をはじめ、心ある朝臣たちも、こんなことを伝え聞いて、そろそろ何進の人間に見限みきりをつけだして離れてしまった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なあ、そうやってるうちにアまた思わねえいい芽もふこうってものだ。だがネ、お前さんが栄三郎さんに見限みきりをつけたのは大出来だったよ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ところが又そうなると私の癖かも知れないが、すっかり鑑識課の仕事を馬鹿にしてしまって、ほんの参考程度の役にしか立たないものと見限みきりを附けるような頭の傾向になっていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「女狐め! 逃げる気で飛びこんだならばよいが、のがれぬところと見限みきりをつけて、身を投げたのだとすると、一大事だわえ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今が見限みきり時」とばかり、陣を脱して逃亡してしまうのも、当り前のようにしている彼らの乱世生活であった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の逆境であった時代——これはいかんと早くも見限みきりをつけて、羽振りのよい今川義元のほうへひそかに媚態びたいを送って、軍事的な盟約をむすんでおいた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう江戸もよい程に見限みきりをつけて、いつも親分が、時節が来たらと、口ぐせにいっている西国の何とか島へ、もうそろそろ落ちて行こうじゃありませんか」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腹の底で、すでに安兵衛は見限みきりをつけているらしかった。内蔵助の乱行ぶりは、江戸の噂以上である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(この大将にいていたところで——)と、見限みきりをつけて四散してしまうのである。田氏は田氏ひとり在るのみではなかった。無数の田氏が離合集散している世の中であった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見限みきりをつけて帰ろうと思ったが、禅房の門まで人がいっぱいなのである。それに、何となく気懶けだるくもあったので、彼はまた、人混みの中に坐り込んで、ケロリとした顔をしていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
付き従う郎党とても指折るほどじゃった。この小冠者こかんじゃを大将にかついでも、大事は成らぬと見限みきりをつけ、生命からがら逃げたのが多い。——彼は孤立した。ほとんど自刃するほかなかったのだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞くだけ野暮と見限みきりをつけて裏口から飛び出すと、そこに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)