西村にしむら)” の例文
信号所の中から声をかけたのは彼と同じ囲いの官舎にいる西村にしむらだった。彼は振り返って微笑ほほえんだ。突然で言葉が出なかったのだ。
汽笛 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
それは、「青蘭」の支配人バー・テンで、西村にしむらと名乗る青年だった。ガリガリベルを鳴らして、せわしげに電話を掛けてよこした。
銀座幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
ドアがいて、庶務しょむ北川きたがわが入って来た。株式会社西村にしむら電気商会主の西村陽吉ようきちは、灰皿の上に葉巻を置いて、クルリと廻転椅子いすまわ笑顔わらいがおを向けた。
あそんでいる生徒せいとたちのなかには、西村にしむらさんもいれば、すみさんも、ときさんも、なかのいいおともだちがいるばかりでなく、自分じぶんもまた、いるようながしました。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
朝十時の奏楽のときに西村にしむら氏がそばへ来て楽隊のスケッチをしていた。ボーイがリモナーデを持って来たのを寝台の肱掛ひじかけの穴へはめようとしたら、穴が大きすぎたのでコップがすべり落ちて割れた。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
西村にしむらさんは、やさしいから、きっといい保姆ほぼさんになれるとおもいますわ。」
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから三日目の夜、松波博士の新しい家の中で、ふしぎなできごとがおこったのですが、それを見たのは、博士邸のとなりに住んでいる西村にしむらさんという、会社の重役の子どもの正一しょういち君でした。
おれは二十面相だ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「まあ、西村にしむらさんがどうしてそんなおかんがえをなさったの。」
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)