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袂別
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べいべつ
ふりがな文庫
“
袂別
(
べいべつ
)” の例文
「キミはこのへんで本と眼鏡に
袂別
(
べいべつ
)
すべきじゃないか。キミの一生にとって、それはどうせ一時期のものにすぎないのじゃないか」
握った手
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「もうみんなに、薯粥のふるまいができなくなったからな」
袂別
(
べいべつ
)
の朝、さいごの粥を啜りあいながら、隼人は笑ってそういった
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いつ来たのだろう、夏との
袂別
(
べいべつ
)
をいつしたとも見えないのに秋をひそかに巴里は迎えいれて、むしろ人達を
惑
(
まど
)
わせる。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
有産階級は
呪
(
のろ
)
われたものであり、民衆を腐敗させることができるばかりであって、民衆はぜひともそれと
袂別
(
べいべつ
)
すべきであり、単独で進んでゆくべきである
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
武蔵野から、伊織を捨て、権之助にわかれ、また、江戸の知己すべてと
袂別
(
べいべつ
)
して、風のように去ったのも、薄々、この前駆的症状を自分でも感じていたので
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
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わたしたちがもしも
疾
(
と
)
くにこのことに気がついて、わたしたち自身の世界に永劫の結合と深遠の愛を誓ったのであったら、かくも悲惨な
袂別
(
べいべつ
)
を告げることはなかったでしょう。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
さらば起たむ、この力ある身と肉を陣頭の戦渦に
曝
(
さら
)
さむ、可ならずや、と。
斯
(
かく
)
の如くして彼は、帝室劇詩人の栄職を捨て、父母を離れ、恋人に
袂別
(
べいべつ
)
して、血と剣の戦野に奮進しぬ。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「さようなら」とは、さようならなくてはならぬ故、お別れしますというだけの、敗北的な無常観に貫ぬかれた、いかにもあっさり死の世界を選ぶ、いままでの日本人らしい
袂別
(
べいべつ
)
な言葉だ。
さようなら
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして為兼は為世と
袂別
(
べいべつ
)
する。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
そう一致したからには、一日も寸時も早くと、彼はすぐ君前に暇を乞い、同座の人々とも
袂別
(
べいべつ
)
して、あの席からすぐに立って、馬を姫路へ向けて来たものであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
故郷の人々と今生の
袂別
(
べいべつ
)
をする隠れた意味ももっていたので、篠原村では十日あまりも滞在し、有士のために両三回ほど講筵も敷いた……伊兵衛は甲斐路の途上と、篠原村に滞在しているあいだに
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大勢のうちから伸び上がって、悲壮な声で家康とその旗本たちへ最後の
袂別
(
べいべつ
)
を告げた者がある。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お互いが、暗黙のうちに、こう顔を見合うのも、今の一瞬が最期か、きょう半日の
間
(
ま
)
かと、散るのをいともさり気なく
戦
(
そよ
)
いでいる桜の花のように、あっさり心のうちで
袂別
(
べいべつ
)
を告げていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(この機に!)彼は、身一つになって、所領、位階、一族妻子、あらゆるものに
袂別
(
べいべつ
)
を告げ、そしてまっしぐらに、多年のあいだよそながら慕っていた親鸞を遠くこの北国まで訪ねてきたのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
袂別
(
べいべつ
)
の
眼
(
まなこ
)
を与えた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袂
漢検1級
部首:⾐
9画
別
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
“袂別”で始まる語句
袂別感