行力ぎょうりき)” の例文
御意で、恐縮をいたします……さような行力ぎょうりきがありますかい。はッはッ、もっとも足は達者で、御覧の通り日和下駄ひよりげたじゃ、ここらは先達めきましたな。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
行力ぎょうりき等ニ類似シタル所業ハ、精神科学ノ立場ヨリ見ルモ絶対不可能ノ事ニあらザレバナリ、ソノ高等ナルモノニ到リテハ、催眠術、心霊術、降神術等ノ技術者ガ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この播磨公はりまのきみ弁円ともあろう者が、親鸞ごとき堕落だらく僧に、行力ぎょうりき及ばぬものと噂され、この近国の地盤をかすめられては、何よりも、本山聖護院へ対して、この弁円の顔向けがならぬ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その師の坊の姿を見ると、ちょうど台所で味噌をっていた小坊主が、擂粉木を縦に持ったまま、破風はふから飛出とびだして雲に続いた。これは行力ぎょうりきが足りないで、二荒山ふたらやまおっこちたと言うのです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昔、人と水と戦って、この里の滅びようとした時、えつ大徳泰澄だいとくたいちょう行力ぎょうりきで、竜神をその夜叉ヶ池に封込ふうじこんだ。竜神の言うには、人のおぼれ、地の沈むを救うために、自由を奪わるるは、是非に及ばん。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)