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蟲干
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むしぼし
富豪の
家では
蟲干で、
大きな
邸宅はどの
部屋も一ぱい、それが
庭まであふれだして
緑の
木木の
間には
色樣々の
高價なきもの が
匂ひかがやいてゐました。
其夏の事なりし
師匠感應院の
供して和歌山の城下なる
藥種屋市右衞門方へ參りけるに感應院は
奧にて祈祷の内寶澤は
店に來り
番頭若者も
皆心安ければ
種々の
咄などして居たり
然るに此日は藥種屋にて土藏の
蟲干なりければ寶澤も
藏の
二階へ上りて見物せしが
遂に見も
慣ざる品を