螺手らしゅ)” の例文
船田ノ入道はまっさきに登って行って一引両ののぼりを立て、また螺手らしゅに命じて貝を吹かせた。つづいては堀口、世良田、里見などの一族。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬場民部が合図の声を放つのと同時に、望楼の三面に向って立っていた三名の螺手らしゅも、貝口を唇にあてると、満身の息をこめて吹き鳴らした。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺手らしゅを呼んで、彼は貝をふかせた。陣々大小の将士はそれによってたちまち彼の前に集合した。すなわち陸遜は軍令だんに立って諸大将に大号令を下した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鬼小島弥太郎が、の旗と、日の旗の二りゅうを高々掲げていると、謙信はまた螺手らしゅの宇野左馬介に命じて
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
廻廊の東西、両隅にっていた螺手らしゅが、貝の口を唇に当てて、細く高く長く短く、貝の音を吹き鳴らした。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故に、螺手らしゅの気は即、味方の士気でもある。沈剛大気の士がそれに選ばれたことはいうまでもない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
虎衛軍こえいぐん五万、槍騎隊三千、儀仗一千、戦車、石砲、弩弓手どきゅうしゅ、鼓手、螺手らしゅ干戈隊かんかたい、鉄弓隊など四団八列から鶴翼かくよくにひらき、五行に列し、また分散して鳥雲の陣にあらたまるなど
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
闘艦=これは最もおおきくまた堅固にできている。艦の首尾には石砲せきほうを備えつけ、舷側には鉄柵てっさくが結いまわしてある。また楼には弩弓どきゅう懸連かけつらね、螺手らしゅ鼓手が立って全員に指揮合図を下す。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺手らしゅに貝を吹かせ、いちおう陣立てをまとめ直していた時だった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺手らしゅはそこからもう一段高い岩上へ向って駈け上がった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺手らしゅが貝を吹く。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)