薄様うすよう)” の例文
旧字:薄樣
と言いながらも、中将は姫君の生母が明石あかし夫人であることを思って、遠慮をしすぎる自分を苦笑しながら書いた。それは淡紫の薄様うすようであった。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
案外にも青き薄様うすように「蘭省花時錦帳下」[蘭省らんしょう花時かじ錦帳きんちょうもと]という白楽天の句を書いて、「末はいかに」とある。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
薄様うすようの鳥の子紙に、水茎のあともなつかしいこの主上のお歌を見た葵の前は、主上の近くにいる苦しさに耐えかねて、里へ下ったが、まもなく病気になり、遂に薄幸な生涯を閉じた。
敷き物のある一所の端が少しれたようになっている下から、薄緑の薄様うすようの紙に書いた手紙の巻いたのがのぞいていた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
物思いがなかったなら、源氏の美は目をよろこばせることであろうと玉鬘は思った。兵部卿ひょうぶきょうの宮からお手紙が来た。白い薄様うすようによい字が書いてある。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あか薄様うすように包まれたおふみが目にたつので院ははっとお思いになった。幼稚な宮の手跡は当分女王に隠しておきたい。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
五節は年よりもませていたのか、若君の手紙をうれしく思った。緑色の薄様うすようの美しい重ね紙に、字はまだ子供らしいが、よい将来のこもった字で感じよく書かれてある。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
白い薄様うすように重苦しい字で書かれてあった。字は能書であった。大将は学問のある人でもあった。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
玉鬘は驚いていた。夕方から用意してほたる薄様うすようの紙へたくさん包ませておいて、今まで隠していたのを、さりげなしに几帳を引き繕うふうをしてにわかにそでから出したのである。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宮は引きあけて読んでおいでになる、紅の薄様うすように細かく書かれた手紙のようである。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ひるごろであるが、小さい童女が緑の薄様うすようの手紙の大きい形のと、小さい髭籠ひげかごを小松につけたのと、また別の立文たてぶみの手紙とを持ち、むぞうさに走って来て夫人の前へそれを置いた。宮が
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
朝鮮紙の薄様うすよう風な非常にえんな感じのする紙のじられた帳を源氏は見て
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今度のは柔らかい薄様うすようへはなやかに書いてやった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)