菖蒲革しょうぶがわ)” の例文
ひょいと見ると、内側には、菖蒲革しょうぶがわの門番と六尺棒とが、その六尺棒を外に立てかけておいて、将棋盤しょうぎばんをかこんでいます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人はまだ天が明けない内に、行燈あんどうの光で身仕度をした。甚太夫は菖蒲革しょうぶがわ裁付たっつけ黒紬くろつむぎあわせを重ねて、同じ紬の紋付の羽織の下に細い革のたすきをかけた。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それにはしばしば菖蒲模様しょうぶもようを見かけますが、それは言葉が尚武しょうぶに通じるからであります。これを一般に「菖蒲革しょうぶがわ」と呼びますが、模様として既に古典的なものといえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「いいとも」と、菖蒲革しょうぶがわのほうが、役宅の横を廻って、塀つづきの角兵衛の住居のほうへ様子を見に行った。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、菖蒲革しょうぶがわ番太袴ばんたばかまに、ワラ草履を引きずって、二月の別れ霜が、うすく降りているドブ板を浮き足に踏んで戻ると、もう杉の森に、鴉が、があがあと騒いでいる。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
面貌おもては深い熊谷笠くまがいがさに隠して唇元くちもとも見せないが、鉄納戸てつなんどの紋服を着た肩幅広く、石織の帯に大鍔の大小を手挟たばさみ、菖蒲革しょうぶがわの足袋に草履がけの音をぬすませ、ひたひたと一巡りしてから
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほうきと打水で、役宅の前を掃除していた菖蒲革しょうぶがわはかまと、尻はしょりの折助おりすけ
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)