はぐさ)” の例文
はぐさの如く早晩誅鋤ちゅうじょされおわることと思うけれども、今日一部にかくの如き思想が存在しおるが故に、我輩はあえてこの説をなすものである。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
たとへば食をあさりてつどへる鳩の、聲もいださず、その習ひなるほこりもみせで、麥やはぐさの實を拾ふとき 一二四—一二六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
のらに向いて壁のようにたつ林の一面はすべてざわざわざわつき、細末の玉の屑を散らしたように、かがやきはしないが、ちらついていた、また枯れ草、はぐさ
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
また枯れくさはぐさわらの嫌いなくそこら一面にからみついた蜘蛛くもの巣は風に吹きなびかされて波たッていた。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そして、熱心にはぐさったり肥料をやったりしたので、稲はよくみのった。
位牌田 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
秋の野に豆曳くあとにひきのこるはぐさがなかのこほろぎの聲
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
少女子や山ははぐさの夕かげに瓶子落して笑ひたるらし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しかしてかくあしく耕すことのいかなる收穫かりいれに終るやは、程なく知られむ、その時至らばはぐさ穀倉くらを奪はるゝをかこつべければなり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
みちのへに草もはぐさも打ち茂る圃の桔梗は枯れながらさく
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
青日射あをひざししげきはぐさの下草には立ちにけり早き蟲の音
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
南瓜の茂りがなかに抜きいでしはぐさそよぎて秋立ちぬらし
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
青日射あをひざししげきはぐさの下草には立ちにけり早き虫の音
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我が庭ははぐさにまじる桔梗きちかうの紫しらけ朝から暑し
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)