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莞
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にっ
ふりがな文庫
“
莞
(
にっ
)” の例文
お滝の手が此方向きに寝ている男の肩に往ったところで、男は不意にひらりと起きて
莞
(
にっ
)
と笑った後にむこうの方へ往った。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
海晏寺の前の
榎
(
えのき
)
の傍で擦れちがい、八幡祠の
諍闘
(
けんか
)
の際に見た女にそっくりであった。女は広巳と眼をあわすなり
莞
(
にっ
)
とした。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
一昨日
(
おととい
)
の夕方、板女のような姝な女が、某家の前を通って往くので、見ていると、その女が
揮
(
ふ
)
り返って、
莞
(
にっ
)
と笑った」
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「いいことはありませんよ、苦しいのです、それに叔父さんは、お疲れよ」
莞
(
にっ
)
として
反
(
そら
)
している広巳の眼を追っかけて
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
憲一は今窓から顔を出した人だろうかとおもって、それに注意したところで、女の姝な顔がこっちをむいて
莞
(
にっ
)
とした。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
「おのれ妖怪」と、云いさま平太郎は刀を抜いて起ちあがると、武士は
莞
(
にっ
)
と笑って
背後
(
うしろ
)
の壁の方へ退いたが、其のまま姿は浸み入るように壁の中へ消えた。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
莞
(
にっ
)
と笑いながら早速
隻手
(
かたて
)
を突きだして、小供の胸のあたりに平手をやり、一と突きに突こうとしたが、小供は動かないで、そのはずみで己が
背後
(
うしろ
)
へよろける。
村の怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
驚いて声を立てようとしたが、舌がこわばって口が
利
(
き
)
けない。と、女はぱっちりと眼を見開いて
莞
(
にっ
)
と笑った。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、女はちらと
揮
(
ふ
)
りかえった。そして、
所天
(
おっと
)
の顔を見て
莞
(
にっ
)
としたが、そのまままた見えなくなった。
海嘯のあと
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
乙姫様
(
おとひめさま
)
の前に出たような気になって、穴の開く程その顔を見詰めていたよ、すると
女子
(
おなご
)
は俺に気が
注
(
つ
)
いたように、俺の顔を見て
莞
(
にっ
)
と笑ったが、笑う拍子に赤い下唇が動いて
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もうこれで妖怪も出ないだろうと思って眼をつむろうとすると、蚊帳の傍の掛竿にかけてあった帷子の袖の中が、きらりと光って一つの生首が顔を出して、新八郎を見て
莞
(
にっ
)
と笑った。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
(とても今夜は帰らないだろう)と、独言を云い云い寝床の方へ往こうとして立ちあがると、
背後
(
うしろ
)
から袖を引く者があった。驚いて揮り返って見ると、前夜の女が
莞
(
にっ
)
と笑って坐っていた。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
生きておる時のように
莞
(
にっ
)
と笑っておるではないか、拙者は殺した者が笑うはずはない、これは気の迷いじゃと思うて、きっと心を沈めて見直したが、それでもやっぱり女子の顔は笑うておる
人面瘡物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、云って
莞
(
にっ
)
と笑ったが、そのまま室の外へ出て往った。太郎左衛門の手から刀が落ちた。太郎左衛門はあっけにとられてそれを見送っていたが、ふと気が
注
(
つ
)
いたので壮い女の方へ眼をやった。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
小女
(
こむすめ
)
は
莞
(
にっ
)
と笑った顔を向けただけで何も云わなかった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少女は
莞
(
にっ
)
として出て往った。憲一はまた考えた。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
壮い女の顔は太郎左衛門を見て
莞
(
にっ
)
と笑った。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
小女
(
こむすめ
)
は
莞
(
にっ
)
と笑って見返ったが
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すると少女が
莞
(
にっ
)
とした。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
娘は
莞
(
にっ
)
として鷹を見た。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少女の一人は
莞
(
にっ
)
とした。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
小女
(
こむすめ
)
は
莞
(
にっ
)
と笑った。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
政平は
莞
(
にっ
)
とした。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
莞
漢検準1級
部首:⾋
10画
“莞”を含む語句
莞爾
莞然
莞爾々々
莞爾莞爾
悠揚莞爾
莞々
莞爾〻〻
莞草