荒療治あらりょうじ)” の例文
拙著「春琴抄」の佐助は盲人になるために針を瞳孔に突き刺してよく目的を達したが、順慶は戦国の武士であるからもっと野蛮な荒療治あらりょうじを行った。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自分は、もしや死にっきりに死んじまやしないかと云う神経のために、ついぞこの荒療治あらりょうじを頼んだ事がない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ふん、やさしくいえば、二人ともつけあがって、おれをばかにする。よし、こうなれば、荒療治あらりょうじだ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それを、貴様がいらぬおせっかいをしたばかりに、とうとう、あんな荒療治あらりょうじをしなければならなかった。即刻手を引くのだ。でないと、俺はもう我慢が出来ん。この次は貴様の番だぞ。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「あたりめえよ。荒療治あらりょうじだなあ。ちったあ手間のとれるなあ知れきったこった」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それは今やねずみに向って躍りかかろうとする猫の如きその男の腰に、どすんと突き当った赤革のトランク一箇——女は生命を捨てずに済んだ。男は荒療治あらりょうじを決行するに及ばなかった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貴様があんなところへメダルをかくしておくものだから、つい荒療治あらりょうじもせにゃならん。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
実は蝋山教授をわずらわして食道や気管を切開し、その宝石の有無うむをしらべるつもりだったけれど、あやしいベルの音を聞くと、早くも切迫せっぱくした事態をさとり、荒療治あらりょうじながら決行したところ
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ああ、そのこと、そのこと。じゃあ仕方がない。もう猶予ゆうよはできないから、わしは荒療治あらりょうじをやることにしよう。お前はわしとは別に、房枝をうまく丸めて、例の計画をすすめるのだ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
荒療治あらりょうじ
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)