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茫
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ぼん
ふりがな文庫
“
茫
(
ぼん
)” の例文
またたきを失っている
茫
(
ぼん
)
やりした時と、あるいは野うさぎのように物かげにかくれようとしている時の、そのかがやきを交叉していた。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
青木さんは所在なさに
茫
(
ぼん
)
やりと何をか考へ入つてゐられた後のやうな沈んだ顔をして、横になつて煙草を
喫
(
の
)
んでゐられた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「もしこの状態が長くつづいたら、私はあすの朝まで、せっかくのヴァイオリンも弾かずに、
茫
(
ぼん
)
やり一枚岩の上に坐ってたかも知れないです……」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
名物と言はれた
繁
(
しげ
)
りに繁つた松にブラ下がつた人間は、木戸の外から
茫
(
ぼん
)
やり見た位では見付からないよ
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その証拠には見舞客がどういう服装であったかも不明で、只、顔ばかりが
茫
(
ぼん
)
やりと客の椅子の上に見えるばかりであった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
それには一寸込入つた事情があつて、息子の顔も立ててやらなければならないので、たうと今度は立つて行くのだと、かう言つたやうな事を
茫
(
ぼん
)
やり話した。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「ええ、ですけれども、あとから考えると、もしあらわれて退学にでもなると大変だと思って、非常に心配して
二三日
(
にさんち
)
は寝られないんで、何だか
茫
(
ぼん
)
やりしてしまいました」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生んでみたいわね、あたいなら生んだっていいでしょう、ただ、どうしたら生めるか、教えていただかなくちゃ、
茫
(
ぼん
)
やりしていては生めないわ。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
茫
(
ぼん
)
やりと一つところを見つめてゐられるやうなことがあつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
茫
(
ぼん
)
やりとおなじ水の面を眺めている夫は何を考えているのか、少しも生気というものがなく顔は青みをふくんで
淋
(
さび
)
しい以上の淋しい感銘であった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
茫
漢検1級
部首:⾋
9画
“茫”を含む語句
茫然
茫乎
茫々
茫漠
渺茫
茫然自失
微茫
蒼茫
茫洋
光茫
淼茫
縹茫
眇茫
広茫
茫茫
曠茫
茫々然
草茫々
薄茫然
薄茫乎
...