若子わくご)” の例文
また春日のなか若子わくごが女、老女子おみなこの郎女に娶ひて、生みませる御子、難波の王、次に桑田の王、次に春日の王、次に大俣おほまたの王四柱。
壬生部の中心が、氏のおさの近親の女であったことも確かである。こうして出現した貴種の若子わくごは、後にその女と婚することになったのが、古い形らしい。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
それだから「殿の若子わくご」も、この「我が手」の主人も、たれであってもかまわぬのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
『万葉集』東歌の「稲つけばかがるわが手を今宵もか殿の若子わくごがとりて歎かむ」
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
十二万石殿との若子わくごはさもあらばあれここに六騎ろつきの町の子我は
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
殿の若子わくごがとりて嘆かむ
古代之少女 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
次に若子わくご宿禰すくねは、江野の財の臣の祖先です。この天皇は御年五十七歳、御陵ごりようは劒の池の中の岡の上にあります。
郎女いらつめ様のお従兄恵美の若子わくごさまのおはら様も、当麻真人のお出じゃげな——。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
次に久米くめ摩伊刀まいと比賣、次に伊呂いろ比賣、次に葛城かづらき長江ながえ曾都そつ毘古は、玉手の臣、的の臣、生江の臣、阿藝那の臣等が祖なり。また若子わくごの宿禰は、江野の財の臣が祖なり。
稲つけば、かゝる我が手を 今宵もか 殿の若子わくごがとりてなげかむ
歌の円寂する時 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
また丸邇わに日爪ひのつまの臣が女、ぬか若子わくごの郎女に娶ひて、生みませる御子、春日の小田をだの郎女。この天皇の御子たち、并せて、七柱。この中、小長谷の若雀の命は天の下治らしめしき。