興行物こうぎょうもの)” の例文
日をきめて興行物こうぎょうもの一さいをさしひかえ各戸かくこに半旗を上げて、日本の不幸に同情をひょうし、義えん金を集めました。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
元来江戸演劇は時代の流行に従ひ情死喧嘩等の社会一般の事件を仕組みて衆庶の娯楽に供せし通俗なる興行物こうぎょうものたりしといへどもこれは全く鎖国時代の事にして
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このみなみくにあつ午後ごごのこと、まちのはずれの広場ひろばでいろいろと手品てじなや、うたや、おどりなどをしてみせている興行物こうぎょうものがありました。そのなかには、このしろいくまのダンスもじっていました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに公園内の興行物こうぎょうものが皆はねてしまった。池の周囲まわりの人影はすくなくなって来たが、小女こむすめは姿を見せなかった。彼は山の上のベンチや林の中のベンチに腰をかけて、疲れた足を休めなどした。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
遥か彼方あなた境内けいだいの外れに、こも張りの掛け小屋が立っていた。興行物こうぎょうものの掛け小屋であった。窩人達の出演ている掛け小屋であった。その掛け小屋の入り口の辺に、豆のような灯火ともしびがポッツリと浮かんだ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)