舂女つきめ)” の例文
とにかくに是にって、且つ糯米の利用によって、しとぎで物の姿を作る必要は半減した。従うてまた手杵と舂女つきめとはまったくひまになったのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
諸王、諸臣、及び天下の百姓、ことごと長老おきなは愛児を失ふがごとく、塩酢之昧あぢはひ口に在れどもめず、少幼者わかきめる父母かぞうしなふが如くて、いさつる声、行路みちに満てり、すなは耕夫たがやすものすきを止め、舂女つきめきおとせず。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
神代の記録の中にも、すでに葬式の日に舂女つきめが働いたことが見えているが、その風は今でも田舎いなかにはなお残っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たとえば舂女つきめはもともみから米にする作業にまで関与しておった。三本の手杵てぎねで調子を取りうたを歌って、儀式の日の米をしらげ、それをさらに小搗こづいて粉にはたくのも、彼女らの手わざであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)