のう)” の例文
夏は破傷風はしょうふうをおこしてすぐのうを持つ。落武者のよく用いる非常療法に灸治きゅうじがある。玄蕃允も、山中の農家へ立ち寄って
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例えば夏に腸出血をしたということを初めておききしたのは十月十五日頃でした。その前から永らく便にのうが混っていたことを伺ったのは先日がはじめてであったと思います。
しかもいち面にのうを持って、みるから痛そうに赤くれあがっていたのである。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
大きな傷口ののうは常に内部へ吸収されがちなもので、その結果、大気のある影響を受けて患者を殺すことがある。それで天気の変化するごとに、わずかの暴風雨にも、医者は心配していた。
早稲田わせだ鴨川壽仙かもがわじゅせんという針医がある、其の医者が一本の針を眼のわきへ打つと、其処そこからのうが出て直ぐ治る、丁度今日けば施しにたゞ打ってくれる、目は一時いっときを争うから直ぐ行くが宜しい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
温気うんきのうのにおいが、むっと部屋中にたてこめる。その中で栄介は黙々と手を動かしている。——昨日自分のギプスを眺めた時、彼の体を通り抜けた衝動と戦慄は、まさしくその記憶であった。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「いや、大したこともないんです。歯齦にのうをもつてゐるんで。」
歯痛 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「よろしければ洗いますよ。もしのうを持つと厄介だからね。丸公たまこう、手伝え」
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
打つとのうが出て直ぐ治ります
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)