聴許ちょうきょ)” の例文
旧字:聽許
また、その聴許ちょうきょを要請された殿帥府でんすいふの高家でも、司法法廷の裁判にはあらがいかねたものだろう。だまって、その公文書に裁可の官印をして下げてきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「早速の御聴許ちょうきょ、それがしも共どもにお礼申し上げまする」と、信西も眉を開いて、うやうやしく会釈した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「とても暇にはなりませんよ。クレマンソオはどうしても、僕の辞職を聴許ちょうきょしてくれませんからね。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「何とぞ、お怒りを解かれて、小寺家の跡目を、その遺子に相続なすべきことを、ご聴許ちょうきょ下しおかれますように」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「父の仇討あだうちを願い出ましたるところ、幸い聴許ちょうきょされて、明日某所で勝負を致すことに相成りました。ついては、必勝の太刀筋を御伝授に預りとう存じます」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上洛者のたれかれを問わず、これを奏聞そうもんに達して、それらの武門が望む叙爵じょしゃく栄職えいしょくの名を聴許ちょうきょし、武家の音物いんもつ黄白こうはくを収入とするのが、ともあれ、この人々の唯一な生きる道ではあった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)