はじら)” の例文
清々しい朝の光のなかに、はじらいを含んで見上げる顔は、沖田源左衛門の娘小房であった。しかも……意外なことには眉をり歯を染めている。
おもかげ抄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それは、はじらいながらも、彼の闖入ちんにゅうを許している微笑だった。彼の闖入というよりも、彼自身を許している微笑だった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
とややはじらい気味に、幾分愁然と上衣コートの内側を裏返して見せた。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
彼はいつものように少女のようなはじらいを見せた。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
はじらいを含んで微笑しながら云う、勘兵衛は不機嫌に唇を結んだまま黙ってお笛の後からいていった。
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
小浪は体いっぱいにはじらいを見せて、ちらと兵馬のほうへめまぜをした。
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
加代ははじらいながら土器かわらけを手にした。
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)