緩々かんかん)” の例文
秀吉はそれを見届けて緩々かんかんと石井山の本陣へもどった。すると山門の前に、官兵衛孝高よしたかが待ちうけていて、何か、眼でものを云いながら寺内へいて行った。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
永左衛門は運座で三才に抜けた自分の句を反芻しながら、それでも緩々かんかんたる気持で足を運んで居りました。
こんなのが先ず普通である。だから峠の一方の側が急なら急な方から上り、表と裏とあれば裏の方から昇って、緩々かんかんと水に沿うて下って来るように路順をこしらえることを力めねばならぬ。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
で——今見かけたその和歌うたから、少年の頃の記憶がよみがえって来たのであろう。緩々かんかんたる牛の背で武蔵はなにげなく、その和歌うたっていた太平記の一章を、口のうちでそら読みした。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
熱田の宮を出ると、それまで、疾風の如くであった信長の態度は、どこか緩々かんかんたる余裕を示し、駒の背へ、横乗りに身をのせ掛けて、鞍の前輪まえわと後輪へ両手をかけながら揺られて行った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百獣店ももんじだなから追ってきた源内は、とんだよいみちづれを見つけた気で、緩々かんかんたる歩調とのどかなあるきばなしに、木曾風俗の漫評まんぴょうや、御岳山おんたけさんの裏谷で採った薬草の効能や、そうかと思うと、近頃
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは、敵のはかりだろうか。引きよせてつつむ法もなくはない。しかし、それなら高氏に、それらしい予見があろう。こう緩々かんかんと、無人のきょうでも行くようなのは、何とも怪しむべきかぎりであった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉は、緩々かんかんたる気軽さで
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)