あらゆ)” の例文
旧字:
我らのご先祖宗介むねすけ様が正親町おおぎまち天皇天正てんしょう年間に生きながら魔界の天狗となりこの八ヶ嶽へ上られてからはあらゆる下界の人間に対して災難をお下しなされたのだ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人間は勿論あらゆる生物には、その生物としての脈がござる。以前奇怪な托鉢僧を人間ならずと見極めたのも、人間ならぬ不思議な脈を其奴が持っていたからでござる。
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「困った事にはこの浮世には、私と反対な立場にいて私に反対する悪い奴がいる。悪、不平等、呪詛じゅそ、無慈悲、こういう物の持ち主で、やはり私と同じようにあらゆる人間に付きまとっている」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老武士おいぶしその人にないばかりでなくその老武士がはいって来ると共にあらゆる物が生気を失い陰々たる鬼気に襲われるのであった。店に飾ってある弓や矢やともされてある行燈あんどんまでぼっと光を失ってしまう。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)