紅蘭こうらん)” の例文
星巌の室紅蘭こうらんの書も、扇面や屏風びょうぶなど数点を蔵していること、山陽の女弟子として名高い江馬細香えまさいこう筆蹟ひっせきも幾ふくかを所持していること
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これが若い時は閨秀けいしゅう詩人で鳴らした紅蘭こうらん女史であった。紅蘭が無月の洒落しゃれをいっても、奥で、笑いもせずにいる霊芝れいしみたいな人間は、むろん慷慨こうがい詩家、梁川星巌やながわせいがんなのである。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
婦人にして漢詩を作るということは、極めて珍しいことに属している。文鳳ぶんぽう細香さいこう采蘋さいひん紅蘭こうらん——等、数えきたってみると古来、日本の国では五本の指を折るほども無いらしい。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
覚束なくも平仄ひょうそくを合わせてみるだけの芸当だろうとタカをくくって見ると、なかなかどうして、頼山陽を悩ませた細香さいこう女史や星巌せいがん夫人、紅蘭こうらん女史あたりに比べて、優るとも劣るところはない
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
紅蘭こうらんに似るそのまぶたにもいっぱいな春心ものをいわせながらである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)