紅緑こうろく)” の例文
あらん限りの感覚を鼓舞こぶして、これを心外に物色したところで、方円の形、紅緑こうろくの色は無論、濃淡の陰、洪繊こうせんすじを見出しかねる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佐藤紅緑こうろく氏の「侠艶録きょうえんろく」の力枝りきえという女役者は、舞台で気の狂った紀久八がモデルであった。小栗風葉おぐりふうようだったかのに、「鬘下地かつらしたじ」というのがある。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
このほか鳴雪めいせつ四方太しほうだ紅緑こうろく、等諸氏の句については近来見る処が少ないのでわざと評を省いて置く。〔『ホトトギス』第五巻第八号 明治35・5・20 二〕
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
紅緑こうろくの「アンカ」を四方太がほめた。森田白楊は散々わるくいうた。あのジジイは僕も嫌だ。通篇西洋臭い。焼直し然としている。然し田舎の趣味がある所が面白いと思います。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
きのうは朝より絵師、社友、従軍同行者と漸次おとずれて点燈後鳴雪翁来給いたり。やがて碧梧桐、紅緑こうろく来りぬ。一会を催して別れたるは夜半近かりけん。誠に面白き一日なりけり。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
来客は鳴雪めいせつ虚子きょし碧梧桐へきごとう紅緑こうろく諸氏。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
五月三十一日 紅緑こうろく上京。肋骨、鼠骨そこつと四人、不忍しのばず、笑福亭に会す。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
川越しの小兵こびょうに負はれ五月雨 紅緑こうろく
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)