紅唇こうしん)” の例文
「おや、おや、きょうは、どういう風の吹きまわしか、紅唇こうしん、火を吐くの盛観を呈している。いつもの調子でいてくれると、僕も張り合いがあって、うれしいのだが。」
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
まったく十余年の歳月さいげつは、うかうかと夢のごとくに過ぎていった。紅唇こうしんいずれの日にか恋愛のためにるるべき、——と冗談口をたたいた娘は早くも二十一歳になっていた。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
黒縁くろべりの麻ごろもに、学者頭巾をかぶり、ひげ長やかだが、さりとて、腰の曲がった老人ではない。白皙はくせきにして、なお紅唇こうしんの精気若々しく、まなこすずやかな底に、知識人の何かがある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
痛い質問が、女史の紅唇こうしんからとび出した。僕はどきんとした。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秘園の春は浅く、帳裡ちょうり瓶花へいかはまだ紅唇こうしんもかたい。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水はぬるみ、春園の桃李とうり紅唇こうしんをほころばせてくる。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、紅唇こうしんをひるがえしてケシかけた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)