粗樸そぼく)” の例文
予はフイイレンチエの偉人廟パンテオンであるサンタ・クロスの広場へ来てダンテの大石像を仰ぎ、寺内じないはひつてヂヨツトの筆に成る粗樸そぼくにして雄健ゆうけんな大壁画に見恍みとれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
この風習も近年まで残っておったが、大阪のごとき大都市でも、商家で丁稚でっち手代てだいを採用するに、比較的生活の相似たる市民の子弟を採らずして、なるべく粗樸そぼくの田舎者に目を付けた。
家の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
僕等は埃及エヂプト模様の粗樸そぼくおもむきのあるきれを数枚買つた。絵葉書屋へはひると奥まつた薄暗い一室ひとまへ客を連れ込んで極端な怪しい写真を売附けようとするので驚いて逃げ出した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
シニヨリヤの狭い広場がづ面白い。昔も今も市の中心として百の男女なんによが常にうようよとして居る前に、十四世紀初期の建築の粗樸そぼくな外観をもつて城の如く屹立きつりつして居るのは、ヹツクチオ邸だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)