粗布あらぬの)” の例文
洋傘直しは剃刀をていねいに調しらべそれから茶いろの粗布あらぬのの上にできあがった仕事しごとをみんなせほっと息して立ちあがります。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
粗布あらぬの重ねその上に独りごろんと寝ころべば
るよく晴れた日、須利耶さまはみやこに出られ、童子の師匠ししょうたずねて色々れいべ、また三巻みまき粗布あらぬのおくり、それから半日、童子をれて歩きたいともうされました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
粗布あらぬのは、満々たる帆ともおもはれて!……
黒い粗布あらぬの馬商人うましょうにんが来て、仔馬を引きはなしもう一疋の仔馬にむすびつけ、そしてだまってそれを引いて行こうといたしまする。母親の馬はびっくりして高く鳴きました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)