びく)” の例文
あばれるやつをグイと握ってびくに押し込む時は、水に住む魚までがこの雨に濡れて他の時よりも一倍鮮やかで新しいように思われました。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
暫時しばらくするとこれも力なげに糸を巻きびくを水から上げて先生の道具と一緒に肩にかけ、ほど遠からぬ富岡のうちまで行った。庭先で
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
細川は自分の竿をついでびくをぶらぶら下げ、浮かぬ顔をして、我家へと帰った。この時が四時過ぎでもあろう。家では老母が糸をいていた。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのうちに雷がすぐ頭の上で鳴りだして、それが山に響いて山が破裂するかと思うような凄い音がして来たので、二人は物をも言わず糸を巻いて、びくげるが早いかドンドン逃げだしました。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)