篠垣しのがき)” の例文
そして、裏門の方へと二十歩ほど、杉木立の中を行くと、ささやかな篠垣しのがきに囲まれた草庵があって、朝顔の花が、そこらに、二、三輪濃く咲いていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして陣屋の一番外側には篠垣しのがきめぐらし、五間十間ぐらいの距離に本篝ほんかゞりをき、その垣の内側に、望楼、見せやぐら等をところ/″\に設け、板囲いの仮小屋
僕等はもうその時には別荘らしい篠垣しのがきや松林の間を歩いていた。木札はどうもO君の推測に近いものらしかった。僕は又何か日の光の中に感じるはずのない無気味さを感じた。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
紗綾形編さやがたあみの篠垣しのがきに、柳を抱いた女性的な門づくり。どうしてもしかるべき白拍子しらびょうしの家でもあるか、さもなくば仮粧坂けわいざかや小磯大磯あたりには多い茶屋といった屋構やがまえだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汽車を降りた保吉は海岸の下宿へ帰るため、篠垣しのがきばかりつらなった避暑地の裏通りを通りかかった。狭い往来はくつの底にしっとりと砂をしめらせている。もやももういつかり出したらしい。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)