第一だいち)” の例文
元来何だって、こんの無地のはかまなんぞ穿くんだい。第一だいちあれからしておつだね。そうして塩風に吹かれつけているせいか、どうも、色が黒いね。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一だいちどこで断る隙間もないように、調子の好い文句がそれからそれへとずるずる彼の耳へ響いて来るのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どこでも余計な御世話よ。ほっつき歩くだなんて、第一だいち言葉使からしてあなたは下品よ。——好いわ、今日坂田さんの所へ行って、兄さんの秘密をすっかり聞いて来たから」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一だいちあなたはあの一件からして片づけてしまわなくっちゃならない義務があるでしょう
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一だいちああ忙がしくしていちゃ、頭の中に組織立ったかんがえのできるひまがないから駄目です。あいつの脳と来たら、ねん年中ねんじゅう摺鉢すりばちの中で、擂木すりこぎき廻されてる味噌みそ見たようなもんでね。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今ではどんなに変っているか知りませんが、そのころはひどい漁村でした。第一だいちどこもかしこもなまぐさいのです。それから海へ入ると、波に押し倒されて、すぐ手だの足だのをくのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「見えるかいって、一目ひとめ見りゃあ、——第一だいち言葉でわかりまさあ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一だいちどっちが病人なんだろう」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)