笛吹川ふえふきがわ)” の例文
甲山の緑は若く、笛吹川ふえふきがわの水はことしも強烈な夏を前に、淙々そうそうと永遠の生命を歌っていたが、別るる山河に
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは甲州こうしゅう笛吹川ふえふきがわの上流、東山梨ひがしやまなし釜和原かまわばらという村で、戸数こすうもいくらも無いさみしいところである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そののち白に関する甲州だよりは此様な事を報じた。笛吹川ふえふきがわ未曾有みそうの出水で桃林橋が落ちた。防水護岸の為一村いっそんの男総出で堤防にむらがって居ると、川向うの堤に白いものゝ影が見えた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ここに立てば、ひるは東の真正面まっしょうめん富士ふじ銀影ぎんえい裾野すその樹海じゅかいがひと目にながめられ、西には信濃しなのの山々、北には甲斐かい盆地ぼんち笛吹川ふえふきがわのうねり、村、町、城下じょうか地点ちてんまでかぞえられる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊那いなをながるる三峰川みぶがわか、甲斐かいへそそぐ笛吹川ふえふきがわのあおいうねりがあるばかり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひるならばいうまでもなく、甲州盆地こうしゅうぼんちはそこから一ぼうのうちに見わたされて、おびのごとき笛吹川ふえふきがわ、とおい信濃境しなのざかいの山、すぐ目の下には城下じょうかの町や辻々つじつじの人どおりまでが、まめつぶのごとく見えるであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)