竹片たけぎれ)” の例文
金ピカの猿股さるまた一つになった木乃伊ミイラ親爺の相手になって、禿頭はげあたまの上に逆立ちしたり、両足を捉まえて竹片たけぎれみたいにキリキリと天井へ投げ上げられたり
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
コガタナ(ナイフ)で小さく割った竹片たけぎれを、丹念に削るのだから、しんきで、しんきでしようがなかった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
彼の目には、もんどりを打つ竹ぎれからす早く身をかはして、いきなりそれを目がけて飛びかかると、その竹片たけぎれくはへたまま、真しぐらに逃げて行く白犬が、はつきりと見えた。
長方形の板を載せているのが、竹片たけぎれを指して、立板に水を流すごとくにいった。「裸裎らてい淫佚いんしつで、徳を失い礼をないがしろにし、度を敗るは、禽獣きんじゅうの行いである。国には常刑じょうけいあり、ただこれを禁ずる」
不周山 (新字新仮名) / 魯迅(著)
六寸程の竹片たけぎれが挟んであるのを見附て、指を差込だが春日の指に比べて隙間が少し狭かった、漸く取出してみると、尖端さきに泥がかわき着いていた、足許に気がつくと柱の根元三寸程の所塀に密接して
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
血に狂った一郎は手にせるくわ竹片たけぎれの如くブンブンと振りまわして「見に来てはいけない見に来てはいけない」と叫びますので、非常に危険で近寄れません。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この景色を見るために、何故なぜもつと早く目が覚めなかつたらうと、彼は思つた。縁を下りて、顔をば洗はうと庭を通ると白い犬が昨夜くはへて行つた筈の竹片たけぎれは、萩の根元に転がつて居た。
桐の落葉、松の枯枝、竹片たけぎれ、瓦の破片なぞ……中にはどこで見付たものか、青い草なぞもあります。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
竹片たけぎれで水をタタクと泡が出る。その泡が水の表面をフワリフワリと回転して、無常の風に会って又もとの水と空気にフッと立ち帰るまでのお慰みが所謂人生という奴だ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その横の地面に竹片たけぎれか何かで字を書いて、卵と一所いっしょに輪形の曲線で包んでありました。
(新字新仮名) / 夢野久作(著)