突尖とっさき)” の例文
上口あがりくち突尖とっさきの処、隅の方に、ばさばさした銀杏返いちょうがえし、前髪が膝におッつくように俯向うつむいて、畳に手をついてこう、横ずわりになって、折曲げている小さな足のかかとから甲へかけて
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いなびかりですか、薄いあおいのが、真暗まっくらな空へ、ぼっとしますとね、黄色くなって、大きな森が出て、そして、五重の塔の突尖とっさきが見えるんですよ……上野でしょうか、天竺てんじくでしょうか
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
樋の水がさらさらと木のりめへかかって一杯になると、ざアとながれへこぼれます、拍子を取って、突尖とっさき杵形きねがたが、カーン、何とも言えない、しずかな、さびしい、いいおとがするんです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「大丈夫でございますよ。電信柱の突尖とっさきへ腰を掛ける人でございますからね。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)