磯端いそばた)” の例文
荒海の磯端いそばたで、肩を合わせて一息した時、息苦しいほど蒸暑いのに、ざあと風の通る音がして、思わず脊筋も悚然ぞっとした。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
波風なみかぜまれて死人しにんのようになつて磯端いそばたたふれてゐました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
磯端いそばたで、日くれ方、ちょっと釣をすると、はちめ(甘鯛の子)、阿羅魚あらうおかれいが見る見るうちに、……などはうらやましい。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神職様かんぬしさま小鮒こぶなどじょうに腹がくちい、貝も小蟹こがにも欲しゅう思わんでございましゅから、白い浪の打ちかえす磯端いそばたを、八よう蓮華れんげに気取り、背後うしろ屏風巌びょうぶいわを、舟後光ふなごこうに真似て、円座して……翁様おきなさま
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)