真情まこと)” の例文
旧字:眞情
言葉は無くても真情まことは見ゆる十兵衞が挙動そぶりに源太は悦び、春風みづを渡つて霞日に蒸すともいふべき温和の景色を面にあらはし、尚もやさしき語気円暢なだらか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「いいえ、人誰もの苦患くげんはわきまえておりまする。ましていまのような世の中。それをつらいとは申しませぬ。……ただせめて、人の真情まことがほしいのです」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実際千代子の大槻に対する恋は優しい、はげしい、またいじらしい初恋のまじりなき真情まことであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
言葉はなくても真情まことは見ゆる十兵衛が挙動そぶりに源太は悦び、春風みずを渡ってかすみ日に蒸すともいうべき温和の景色を面にあらわし、なおもやさしき語気円暢なだらか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
真情まこととは、男の」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
空寒き奥州おうしゅうにまで帰る事はわずに旅立たびだち玉う離別わかれには、これを出世の御発途おんかどいでと義理でさとして雄々おおしきことばを、口に云わする心が真情まことか、狭き女の胸に余りて案じすごせばうるの、涙が無理かと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)