相模国さがみのくに)” の例文
むかし、金太郎きんたろうというつよ子供こどもがありました。相模国さがみのくに足柄山あしがらやま山奥やまおくまれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その故はこの人平治の逆乱によりて都の内に住み兼ねて東国へ落ち下り相模国さがみのくにの住人海老名えびなの源八権守ごんのかみ季貞と都にて芳心したりし事ありける間この宿所を頼みてゐたりける。
石塚重兵衛の祖先は相模国さがみのくに鎌倉の人である。天明中に重兵衛の曾祖父が江戸へ来て、下谷したや豊住町とよずみちょうに住んだ。よよ粉商こなしょうをしているので、芥子屋からしやと人に呼ばれた。まことの屋号は鎌倉屋である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
相模国さがみのくに石橋山いしばしやまの古戦場に近き杉山の一部。うしろに小高き山を負いて、その裾の低地に藁葺わらぶきの炭焼小屋。家内は土間にて、まん中にを切り、切株きりかぶ又は石などの腰かけ三脚ほどあり。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)