直話じきわ)” の例文
すなわち、化け物の正体は提灯であるを見て、せっかくの探検も気抜けしてしまったと、その一行に加わった人の直話じきわ
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
其れには安達君の直話じきわとして、いやしくも書を読み理義りぎを解する者が、此様な事を仕出来しでかして、と恥じて話して居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この人物が、四十を過ぎて、まのあたり、艶異えんい妖変ようへんな事実にぶつかった——ちと安価な広告じみますが、お許しを願って、その、直話じきわをここに、記そうと思う。……
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これも塚原渋柿園じゅうしえん直話じきわですが、牛込の江戸川橋のそばに矢柄やがら何某という槍の先生がありました。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
河野は時とするとその木村といっしょにやって来た。木村は河野と往復した書簡及びその直話じきわを筆記して、「至道しどう物語」と云う一篇の書を作ってこれを宮地翁に送って来た。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私は実は、「聞書」が伝える順慶の直話じきわに依ってその光景を紙上に再現し、あわせて順慶が、弓矢を捨てたのみか琵琶をも捨てゝ、或る時は悔い、或る時は怒り、或る時は悟り
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
二ヶ村言い合せ斧鍬など携えて恐る恐る往き見れば石なり、因って打ち砕く、その歯二枚を見るに石にして実に歯なり、その地を掘れば巨大なる骨様の白石多くづと三宅某の直話じきわを載せ居る
もしそのままに捨て置き、翌日動かぬようになって見たならば、蛇はすでに逃げ出しておらぬから、必ず化け物沙汰ざたになるであろうと、校長当人の直話じきわ
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
順慶の直話じきわではないのであるから、そのつもりで読んで戴かねばならないが、しかし私はそれをもう一度現代の読者に取次ぐに当って、如何いかなる形態を選んだらよいか迷うのである。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これから秋庭君の直話じきわほとんどそのままであると云ってい。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これを聞いて、かの若い連中は大いに恐れ、「天狗に違いない、早く逃げよ」とて、尻に帆で駆け出した。その後このことが天狗沙汰ざたとなり、一時その地方の大評判になったと住職の直話じきわである。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)