白葡萄酒しろぶどうしゅ)” の例文
鳩居堂きゅうきょどう方寸千言ほうすんせんげんという常用の筆五十本線香二束にそくを買い亀屋かめやみせから白葡萄酒しろぶどうしゅ二本ぶらさげて外濠線そとぼりせんの方へ行きかけた折であった。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どうかすればそれに貞之助も加わって、チーズに白葡萄酒しろぶどうしゅが出たりして、めいめいが一杯ずつぐらいは相手をしたりもする。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
薄い光のさしたグラスの中にはまだ小さい黄金虫こがねむしが一匹、仰向あおむけになってもがいていた。T君は白葡萄酒しろぶどうしゅゆかへこぼし、妙な顔をしてつけ加えた。
カルメン (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そういう御馳走にはボイルドフィッシを拵えるにも白葡萄酒しろぶどうしゅばかりで蒸してフレッシバターを塗って色々の附合つけあわせをしますからお魚一人前が一円以上かかります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
クリスマスの遊戯や儀式の多くは全く消滅してしまい、フォールスタフ老人のスペイン産白葡萄酒しろぶどうしゅのように、いたずらに註釈者の研究や論争の材料になってしまった。
コンバの市門にはちょっとした白葡萄酒しろぶどうしゅがあること、などを知っていた。
ささやきながら、彼女の前に注いである白葡萄酒しろぶどうしゅの杯を眼で指し示して、自分もそれを少しずつ飲んで見せたり
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都を発した急行の上り列車の食堂で、白葡萄酒しろぶどうしゅのコップを前にしながら、ぼんやりM・C・Cの煙をふかしていた。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
白葡萄酒しろぶどうしゅがなくて残念ですがお手並はよく存じていますよと、銚子ちょうしを持って幸子と雪子の前に現れたが、彼女たちもさされればあえて辞退せず、ことに雪子は
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼女の好物の白葡萄酒しろぶどうしゅを二三本も出して来させて、手ずからびんほこりを払い、年数を調べなどした。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
出来るだけそうッとドーアけて、忍び足で寝室い這入はいってみますと、寝台の傍のテーブルに白葡萄酒しろぶどうしゅびん置いたあって、夫は頭から布団ふとんかぶってすやすや寝てるらしいのんです。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もうその頃は貴重品になっていたバアガンディーの白葡萄酒しろぶどうしゅを、乏しくなりかけた貯蔵の中から特に一本選んで来、自分でびんほこりを払い、気持のよい音をさせてせんを抜きながら
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そんなら、雪子ちゃんのために白葡萄酒しろぶどうしゅを一本提げて、与兵へ行くか」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)