白刄はくじん)” の例文
治良右衛門の命令に、ねて手筈が極めてあったのか、鮎子の手に白刄はくじんがひらめいて、空中梯子の二本の繩が、プッツリ切断された。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それに交って六本の刄襖はぶすま! しかも、その六本の白刄はくじんを、笑止千万にも必死に擬していたものは、ほんの小半時前、根津権現裏のあの浪宅から
宗助そうすけはじめてその視線しせんせつしたときは、暗中あんちゆう卒然そつぜんとして白刄はくじんおもひがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
夜陰やいんに主人の寝息を伺って、いつ脅迫暗殺の白刄はくじんが畳をつらぬいてひらめいずるか計られぬと云うような暗澹あんたん極まる疑念が、何処どことなしに時代の空気の中に漂って居た頃で、私のうちでは、父とも母とも
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
竹見は、白刄はくじんくびすじをなでられたような気味のわるさをかんじた。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)