くたぶ)” の例文
「おくみさん、旦那は今晩はしまひごろの電車でなくては帰られないでせうから、もう先におやすみなさいな。今日はあなたもおくたぶれだし。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
先に出してくれるけれど、それが却って私、嫌で嫌で仕様がないわ。いつもくたぶれてるせいか、眠くって堪らないのよ。
悪夢 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
こればかりでも、女は死にます。奥様の不幸ふしあわせな。歓楽たのしみにおいは、もう嗅いで御覧なさりたくも無いのでした。奥様はくたぶれて、乾いた草のようにしおれて了いました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「歩いて来たの? そう。かなり遠いのに。くたぶれたろうね。」
こゝに集る人々の多くは、日々にち/\の長い勤務つとめと、多数の生徒の取扱とにくたぶれて、さして教育の事業に興味を感ずるでもなかつた。中には児童を忌み嫌ふやうなものもあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)