留女とめおんな)” の例文
兵馬を口説くどいてみたり、竜之助の時の留女とめおんなに出てみたり、がんりきを調戯からかったりしていたのが、ここへ来ると駒井能登守を、また相手にする気になってしまいました。
この時留女とめおんなとして現われたのは芸者きわである。豊花と鶴彦とを次の間に連れて往って、小稲花鳥へ百両ずつの内済金を出すことに話を附け、それを香以に取り次いだ。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「お泊まりなんし、お泊まりなんし、銭が安うておまんまが旨うて、夜具やぐうてお給仕が別嬪、某屋なにやはここじゃお泊まりなんし」と、旅人を呼び立て袖を引く、留女とめおんなの声のかまびすしい
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大阪では子役中の麒麟児きりんじと呼ばれ、鴈治郎がんじろうですらも彼に食われるとかいう噂であったが、初上はつのぼりのせいか、曾我の対面の鬼王と鞘当さやあて留女とめおんなの二役だけで、格別の注意をひかなかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夕暮れに近い時刻であって、旅宿はたごの門では留女とめおんなが、客を呼ぶ声を立てはじめていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)