男伊達おとこだて)” の例文
云うが早いか、抜きひねった長脇差の拝み撃ち——どッと両面へ斬り込んで行く。剣を度胸で使う男伊達おとこだて一流の早技だ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本の江戸時代の男伊達おとこだてとかいうものに、ちょっと似ているところがあったようです。
十五年間 (新字新仮名) / 太宰治(著)
旗本奴はたもとやっこではない。といって、町奴まちやっこでは勿論ない。が、いわばちまたきょうである。町の男伊達おとこだてである。喧嘩渡世という看板をあげているとおり、喧嘩なら、何でも買うのだ。何でも買う。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「江戸の花」には、命をも惜しまない町火消まちびけし鳶者とびのものは寒中でも白足袋しろたびはだし、法被はっぴ一枚の「男伊達おとこだて」をとうとんだ。「いき」には、「江戸の意気張り」「辰巳たつみ侠骨きょうこつ」がなければならない。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
任侠とか、仁義とか、男伊達おとこだてとかいうものとはちがっていたからである。しかし、父はたしかに太ッ腹で、豪胆だった。といって、けっして荒っぽい所業はなく、むしろ、温雅といった方がよかった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
日本の江戸時代の男伊達おとこだてとかいうものに、ちょっと似ているところがあったようです。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
今度は男伊達おとこだてを真似たものの、似た山と嘲られて色事師に転じた。
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その中を、男伊達おとこだて風の連中が、隊を組んでねり歩いていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)