うまし)” の例文
その代りに、「深く御柔軟ごにゅうなん、深く御哀憐ごあいれんすぐれてうましくまします童女さんた・まりあ様」が、自然と身ごもった事を信じている。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この涙の谷にうめき泣きて、御身おんみに願いをかけ奉る。……御身の憐みの御眼おんめをわれらにめぐらせ給え。……深く御柔軟ごじゅうなん、深く御哀憐、すぐれてうましくまします「びるぜん、さんたまりや」様——
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
むかし飼槽かいおけの中の基督キリストに美しい乳房ちぶさを含ませた「すぐれて御愛憐ごあいれん、すぐれて御柔軟ごにゅうなん、すぐれてうましくまします天上のきさき」と同じ母になったのである。神父は胸をらせながら、快活に女へ話しかけた。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)