はん)” の例文
「組ではあるまい」と、書類を抱え直しながらその男は——「組の大きいのをはんという。金鎗班きんそうはんなら彼方の一かくで、禁軍鎗隊そうたいの軍人ばかり住んでるところだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕知る所葉山左内なる者、食禄五百石、はん中老に列す、そのよわいまたすでに六十余、官暇あれば出でて大洋に漁す、常に曰く、「海島の士かくの如くならずんば、事に臨んで用をさず」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
次いで嗣子貞固さだかたが目附から留守居に進んだ。津軽家の当時の職制より見れば、いわゆる独礼どくれいはんに加わったのである。独礼とは式日しきじつに藩主に謁するに当って、単独に進むものをいう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今日は土性調査どせいちょうさ実習じっしゅうだった。ぼくだいはんの班長で図板ずばんをもった。あとは五人でハムマアだの検土杖けんどじょうだの試験紙しけんしだの塩化加里えんかカリびんだのって学校を出るときの愉快ゆかいさは何ともわれなかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
とかくするうちに、例のこのの黒門の方で、がやがやと人声がする。はんの従兵たちが迎えに来たのらしい。屋敷の召使はそれらの者にも酒飯を与えて待たせておく。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとつ、これを書記はんで複写させて、至急、県下一帯の郷村に配布させてくれんか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)