珍物ちんぶつ)” の例文
「いかものも、あのくらゐにると珍物ちんぶつだよ。」と、つて、紅葉先生こうえふせんせいはそのがく御贔屓ごひいきだつた。——屏風びやうぶにかくれてたかもれない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぎ「諸君、この酒を一つ試み給え。これも天下の富豪や贅沢家ぜいたくかがまだ口に入れた事のない珍物ちんぶつだ」と自分のコップへは惜しそうになかばほど注ぎぬ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
砂糖が日本にはいってきたのは、四百年近くも前の話だけれども、始めのうちはただ名をいたばかりの珍物ちんぶつで、都会に住む人々、それもよっぽど良い暮らしの家でないと手に入らなかった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
万古不朽ばんこふきう洪福こうふくたもつ㕝奇妙不思議ふしぎの天幸なれば、じつ稀世きせい珍物ちんぶつなり。
もっとも食卓の飾にする初物はつもの珍物ちんぶつはおこのみなさらず
万古不朽ばんこふきう洪福こうふくたもつ㕝奇妙不思議ふしぎの天幸なれば、じつ稀世きせい珍物ちんぶつなり。
... 使わんやだ。時にこのフライは何だね、やっぱり珍物ちんぶつかね」中川「それは川魚の第一といわれるヤマメのフライだ。即ち一名鯇魚あめのうおといってあゆより美味うまい魚だ」大原「ヤマメは川の上流にいて夏の者だと思っていた。夏は谷川で取れるけれども今頃どうしてあるね」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)